洗練された家庭用蓄電池
エコグッズは、理念としては共感できても、デザイン性が低いなど、製品自体に魅力がないものが多い。
製品自体の魅力を高め、それを使うライフスタイルがいまよりどうよいのかをわかりやすくチャーミングなやり方で提案すれば、エコバッグのように一気に広まる可能性がある。
これにより、企業のイメージを引き上げたり、知名度を高めたりすることが可能となるだろう。
こういうライフスタイル寄りの、軽やかなやり方は、デザイナーやファッション系企業の活躍が期待できる分野であり、積極的に取り組んでほしい方向性である。
また、地球温暖化に適応した新しいライフスタイル自体を提案するやり方もあるだろう。
例えば、沖縄では、暑い気候を過ごすのに適した「かりゆしウェア」の着用を推進しており、フォーマルな衣装として認められるようになっている。
もともと湿気の高い日本の夏を過ごすのにスーツは不向きなのだから、クールビズなどという中途半端なものでなく、もっとずっとラフで風通しのよい、しかもファッショナブルな衣装をフォーマルな場でも着るライフスタイルが提案されてよい。
着流しなんて涼し気だし、日本人らしくてよいと思うが、どうだろうか。
これを機に和装の見直しが進めば、伝統産業の再興にも一役買うことになるし、一石二鳥だと思う。
そういう意味でも、空調設備がなかった頃の日本人の暮らしの知恵や南国におけるライフスタイルは、地球温暖化対策の観点からもっと真剣に研究されるべきだ。
そのエッセンスを現代の都市生活に応用することによって新しいライフスタイルの提案ができれば、新たなヒット商品や産業が生まれるかもしれない。
このような方向性もまたファッション系企業の提案に期待する分野である。
もう少しハードな、いわゆるモノづくり系の企業がまずは目指さないといけないのは、やはりTのやり方だろう。
Pのような地球温暖化防止に役立つ、時流に先んじた画期的な製品の開発やモノづくりのシステムの実現を軸にして、エコ・ブランディング行うやり方である。
「モノづくり大国」を標傍する以上、こういう王道的なエコ・ブランディングで成功する企業が1つでも多く出てほしい。
地球温暖化対策とモノづくりをどう両立させていくかを考えるのは、モノづくり企業の使命であり、責務である。
この場合、両立の方向性としては、第1に、使用に伴う二酸化炭素(CO2)の排出を抑制する製品の開発をすることが挙げられる。
つまり、製品それ自体の環境性能を追求する方向性である。
これは、オイルショックを省エネ技術で乗り切った日本人が最も得意とするモノづくりのあり方だろう。
PもCO2の排出抑制という環境性能を追求したクルマである。
第2に、製造プロセスや廃棄プロセスにおいて、CO2排出を抑制するシステムを実現する方向性が挙げられる。
リサイクルの仕組みづくりや製造過程でのエネルギー抑制、代替エネルギーの使用などがこれにあたる。
すなわち、製品それ自体ではなく、製品の生産から廃棄までのシステムにおいて環境性能を追求する方向性である。
この方向での取組みで先行しているのが、メルセデス・ベンツである。
メルセデス・ベンツでは、自動車が生産されてから解体されるまでに消費されるエネルギーを最小限のものとするため、解体しやすい構造にしたり、天然素材等のリサイクルしやすい原材料を積極的に使用したりするなど、設計段階から徹底した環境に優しいモノづくりのシステムを早くから実現している。
これは生産設備自体にも及び、例えば、1992年に操業を開始したラシュタットエ場では、エネルギー消費を抑えた高効率な生産体制を実現するだけでなく、施設の設計段階から生態学者の意見を多く取り入れ、工場の建設が周囲の自然環境に与えるインパクトを最小限にするための工夫を随所にちりばめるなど、「エコファクトリー」のお手本のような存在になっている。
いわばモノづくりのシステム内においてCO2の排出を抑制する方向での取組みであるが、これとは別に、モノを作り、売ることによって自社が排出するCO2を、モノづくりのシステム外で吸収するやり方もあるだろう。
これが地球温暖化対策とモノづくりを両立させるための第3の方向性である。
例えば、裸地における植林活動や、手入れが行き届かず成長が鈍化した人工林の整備がこれに該当する。
日本の場合、すでに国士の7割近くが森林であり、新たな植林に適した土地は少ないが、森林の約4割を占める人工林は、林業の衰退とともに、手入れが行き届かなくなっており、放置林の増加が問題になっている。
いままでは自治体や国任せであったこの問題を、民間企業が主導するかたちで解決できれば、地球温暖化防止への寄与のみならず、美しい国士の実現にもつながるのだから、とても意味のある行為だと思う。
この場合、「○○の森」と名付けた自社所有林の存在のアピールに終始するような、企業内で閉じた活動ではなく、地域の森林所有者や自治体とパートナーシップを結び、積極的に森林を整備していくような、より広がりのあるやり方が求められる。
このような広がりのあるやり方として示唆に富むのが、Nが2003年から展開している「e(E)」プロジェクトである。
Webサイトの訪問者がメッセージを書き込むと、100件のメッセージに1本の割合で、Nがオーストラリアで実施している植林の本数が追加されるという仕組みのものである。
メッセージが書き込まれるごとに枝が増え、木々の葉状に訪問者の残したメッセージ(=言の葉)が繁っていくさまは、見る者に、世界とのつながりを実感させ、優しい気持ちを抱かせる不思議な力を持っている。
この詩的で優美なWebサイトは、日本を代表する気鋭のWebクリエイター中村勇吾によるもので、2004年には第51回カンヌ国際広告コンクールのインターネット部門でグランプリを受賞するなど国内外の賞を総ナメにし、話題をふりまいた。
以上、モノづくりの企業が地球温暖化対策と両立するために取り組むべき3つの方向性を見てきた。
1つひとつはとくに新しいものではなく、すでに取組みを始めている企業も多い。
しかし、その多くは限定的で断片的な取組みになってしまっており、エコ・ブランディングという観点から見た場合、有機的に統合されたものにはなっていない点に問題がある。
すでに述べたように、環境先進企業としてのブランドを築き、21世紀も選ばれる企業になるためには、エコという要素に注目してCI、P1,VIにどれだけ磨きをかけ、総体的かつ一貫した有機的な取り組みにすることができるかが問われているのである。
なお、これからのモノづくりのあり方を考えたとき、大前提として、何よりも、モノそれ自体の付加価値を高めることが重要だと思っている。
すぐに飽きられ、捨てられるような、味わいのない製品でなく、製造過程で必然的に生じるCO2の排出や、エネルギー・原料の消費という企業活動の「原罪」を凌駕するほどの価値のある商品、長く愛用でき、いつまでも捨てたくないと思えるような商品を作ることが、まずは求められているのだと思う。
どこにでもあるような商品をつくり、作る端から陳腐化させるようなやり方はもうそろそろ限界である。
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